常に収奪される単一草種の維持管理


例えば、もともとコウライシバが敷き詰められていた所に、クローバー(マメ科)、ヨモギ(キク科)、オランダミミナグサ(ナデシコ科)とスズメノカタビラ(イネ科)の4種の雑草が侵入してきたフィールドを想定してみましょう。
それぞれの草種は、みな質性が違うため、
@背の高さが違う
A開花時期が違う
B養分の要求形態が違う
C伸長速度が違う
などのさまざまな違いがあります。

「全体として緑ならいい」のであれば、5種の草種が勝手な時期に養分を吸収し、勝手な時期に花を付けて種子を放出し、勝手な時期に旺盛に生育すればいいのです。
そのフィールドに特に肥料をやらなくても、土壌に肥料っ気がなくなって、ある草種の成長が「鈍」な時は、別の草種が旺盛に成長してますから、「全体として緑」でOKです。
肥料そのものも、各種の草種の落葉が腐ってやがて堆肥になりますし、雑草に生息する多くの小型生物(昆虫や微生物)の死骸も有機質補給の一助となります。
たとえ、その5種が全滅しても、必ず別の草種の種が飛来して発芽し、別の草種のフィールドになります。「全体として緑」でOKです。

ところが、芝生だけが植わっていて、常に芝刈りが行われているフィールドを考えましょう。

まず、植えられている芝草はある時期に一斉に養分を欲しがります。なにせ、みんな同じ種類の植物ですから。
さらに悪いことに、フィールドは常に芝刈りが行われています。せっかく根から吸収した養分と、光合成によって作られた炭水化物が、芝草の体力になる前に刈り取られてしまうのです。これを 「収奪」 と言います。
ですから、芝生は肥料をやらずに放っておくと、芝草が弱り、密度が低くなり(土が見えてくる)、他の草種(雑草)が侵入し易くなって、やがては草地になってしまうのです。