「常に収奪される単一草種」のフィールドだからです
雑草には肥料をやりません。でも、雑草はイヤと言うほど伸びて困ります。
芝生と同じ草なのに、変ですね。
予算をかけて、肥料をやる意味があるのでしょうか?

この疑問はもっともでしょう。
事実、公園に植えて大きくなった木(たとえば下の写真:富山県岩瀬スポーツ公園のアメリカフウやケヤキなど)には、特には肥料をやりません。

しかし公園の芝生でネックとなるのは、これが「常に収奪される単一草種」の維持管理ということです。
難しい表現ですね。どういうことかと言うと、

この自然界で、ある区域にたった1種類だけの植物が、こんなにスゴイ密度で生息しているということは、とても異常なことなのです。
この異常な状態を長い間キープしていくには、やはり、いろいろな無理があるのではないかと想像されるじゃないですか。
自然のバランスを崩しているのですから、何らかの人工的な手当てが必要になります。
言ってみれば、それを「施肥」で補っている、といったイメージです。

全体として緑になっていればいいや!
つまり、芝生以外にもいろいろな雑草が生えていてもOK、
というのであれば、そういった必要はないかもしれません・・・

常に収奪される単一草種の維持管理





 
芝が養分を欲しがっているときに、
必要な分だけ与える必要があります。
芝生が養分を必要とする代表的な時期とは、
芝生が旺盛に成長するとき
越冬のための養分を体内に貯えようとするとき
専門書では、「ゴルフ場においてシーズン中には毎月施肥」云々の記述があります。
ここまでは福祉公園では必要ありません。年2回から3回で十分です。

ちょっと待ってください。
ここで、サッカーをプレーするグランドは一般園地とは少し違います。
グランドや競技場は、利用によるストレス(へたり)が顕著です。
園地の倍は肥料をやって、倍ほど芝刈りが必要だと思っていてください。

肥料の性質と施肥時期の問題





 
できることなら使わずに済ませたいところです。
化学肥料(化成肥料)に代わるものは何でしょうか?
それは、植物や動物の死骸が自然な形で腐っていった堆肥などです。
たとえば牛糞・鶏糞といった動物性有機質や、山中に分け入って採ってきたようなフカフカの腐葉土といったものです。
しかしこれは、芝生を新規に造成するときに、芝の下に元肥として施すことは可能ですが、維持管理で公園の芝生にまくことはできないでしょう。
牛糞をまいたら、しばらくは腰をおろせません。腐葉土をまいたらせっかくの緑のカーペットはだいなしです。

特に、競技場や人が大勢集まる広場などの芝生には、おおむね次のような条件によって、化学肥料を使わざるを得ない状況にあります。
 
腰を下ろしても衣服を汚さない(物理的に解けやすい)
植物に吸収されやすい形に速やかに変化する
大量に同質のものを入手できる
散布した後に、利用上・景観上問題とならない
このよう訳で、「土壌を破壊する」といったイメージで言われることもある化学肥料(化成肥料)ですが、数ある製品の中から、福祉公園では、芝生や地球に少しでも優しい性質のものを吟味して、タイミングよく散布するように心がけています。

化学肥料の問題


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