ヒメコウゾ(クワ科 コウゾ属)
楮 Broussonetia × kazinoki


これまでヒメコウゾとしておりましたが、雑種であるコウゾにはいろいろなタイプがありうるということで、
コウゾということになりました。

ナチュラリスト駐車場の下の方などにみられる落葉低木です。葉は互生。
本州、四国、九州、朝鮮半島、中国南部の林縁や荒地、道端に分布しています。
シュートはややつるのように伸びる時があり、「あれツルかな」と思う時もありますが、全体としてしっかりと立ち上がっています。
コウゾは、カジノキとヒメコウゾの雑種起源であり、いろいろな性表現もありうると考えることにしました。

花は4月から5月。雌雄異花同株〜異種で、雄花、雌花ともにほぼ同時期に咲きます。
写真のように赤いふわふわとした毛糸のような花柱をもつ玉のようなのが雌花序で、葉腋につきます。
下の方にある、枝の基部についている白っぽいのが雄花序です。

果実は6月〜7月に赤く熟しますが、口当たりがあまりよくありません。
でも、まあおいしい方です。一度食べてみてください。もぞもぞとはしますが、味そのものは良いと思います。

古くは、ミツマタと同様に、和紙や織物の原料とされたようです。


いくつかよく似たものがありますので、整理しておきましょう。
カジノキ:雌雄異株で雄花序は長く垂れ下がります。古くから和紙の原料として植えられましたが今は野生化しているものも多いです。落葉高木。

ツルコウゾ:ツル性でやはり雌雄異株です。山口県、九州、四国に分布します。ツル性落葉低木

ヒメコウゾ:カジノキとヒメコウゾの雑種がコウゾです。雌雄同株です。

2003年5月4日