フユイチゴ (バラ科 キイチゴ属)
冬苺 Rubus buergeri

A65付近で見られる、つる性の常緑小低木です。
新潟・関東以西の本州、四国、九州、沖縄、台湾、朝鮮半島、中国と広範囲に分布します。

冬に赤い果実をつけるので冬イチゴです。

花は9〜11月。枝先や葉腋に白い花を5〜10個咲かせます。
花弁とガクの長さはほぼ同じで、おしべは多数あります。
しかし、このねいの里では花を咲かせていません。今後に期待しましょう。

果実は11月〜1月に赤く熟し、オランダイチゴのような偽果ではなく、小さな果実が集まった集合果をつけます。
初冬に山歩きをしていると、おいしそうな赤い実がとてもうれしくて、つい食べてしまいます。

さて、フユイチゴとミヤマフユイチゴについてですが、
平凡社の日本の野生植物木本では、
フユイチゴ・・・・・・・・・・茎は多毛
ミヤマフユイチゴ・・・・・茎は無毛
としています。

山と渓谷社の樹に咲く花では、
フユイチゴは褐色の曲がった短毛が密生する。葉柄に短毛が多い。全体に毛が多くトゲは少ない。
ミヤマフユイチゴは、茎は無毛または軟毛が散生し、下向きの刺がある。葉柄は軟毛が散生し刺がある。
とされています。

しかし、この雑種の「アイノコイチゴ」というのも報告されており、どちらにすればよいか迷います。

ねいの里にあるものは、一見毛は少なそうですが、アップで見ると茎に短毛が密生し、トゲはほとんどありません。
また、葉柄や葉の裏面にもじっくり見ると短毛が密生しています。
葉先が尖ってやや薄めのがミヤマフユイチゴ、葉先が丸く厚めのがフユイチゴという普通の区別法によると、これは中間型と言えると思います。
ここでは、単に「フユイチゴ」としておきます。



2005年3月20日 下のものはやや尖っている感じです。




2005年3月20日 葉の表です。これはかなり丸い葉です。





2005年3月20日 葉の裏です。葉先がとがったものはありませんでした。
しかし葉全体が丸いわけでもないようです。脈上に短毛が密生しています。






2005年3月21日 全体に毛は少なめに見えるのですが、茎の部分をクローズアップすると短毛が密生しています。