アカマツ (マツ科 マツ属)別名:メマツ
赤松 Pinus densiflora


尾根沿いや林内に多数見られる常緑高木です。
北海道南部、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部の、山地・丘陵地の尾根ややせた岩場などに分布します。
里山ではかつて人が低木を刈っていたことなどから多く分布しています。

乾いたしかも痩せたところにでも頑張っている木なのです。
しかし、材は強く、炭にしても火力が強く、本当にいろいろなことに使われました。

下の写真の落葉は、実は、短枝ごと落ちています。これも落枝する植物なのですね。(ねいの里にあるものとしては、他にウワミズザクラ、ラクウショウがあります。)
マツは裸子植物ですが、種子を守るための器官を親植物は発達させました。それがいわゆるマツぼっくりです。
被子植物へ進化するなかでの試行錯誤の結果を現在に残しているのです。
そして1年かかって翌年の秋に種子を出すのですが、何かゆっくりと時間が流れているような感じがします。

アカマツは典型的な陽樹で、たとえアカマツ林でも幼樹が育つには暗すぎます。
そこでタネには翼がついていて、新天地、それも明るい崩壊地などを求めていくのです。
どなたかおっしゃっていたのですが、まさに「さすらいの旅人」ですね。
しかし、このねいの里のアカマツも、定期的に木を切って明るい裸地を提供しないとアカマツはなくなっていくでしょう。

でもその前に、いくつものアカマツが枯れはじめています。これは下草や潅木を刈らず、落葉掻きをすることがなくなる。 →  土地が富栄養化してくる。 → 他の植物が進出してくる。 → 水分や栄養分の吸収競争に負けてアカマツが弱る。 → そこをマツノマダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウにやられる。ということなのだそうです。
(東北地方にはマツノマダラカミキリは生息しないことから別種が媒介しているようです。)

このマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリの絶妙とも言える関係をちょっと紹介しておきましょう。マツノマダラカミキリは枯れたアカマツに卵を産みます。そして卵から孵った幼虫がさなぎになるとマツノザイセンチュウがさなぎに集まり、カミキリムシが成虫となって別のアカマツに飛んでいくのに乗っかって別のアカマツに寄生するのです。そしてマツノザイセンチュウによって新たに枯れたアカマツはマツノマダラカミキリの絶好の卵の産み場所となるのです。本当に見事としか言いようのない関係ですね。

もちろん大気汚染、酸性雨(雪)などの原因も合わさって弱っていることも考えられます。 
アカマツとクロマツの違いを表にしました。この雑種もあるようなのでご注意。

アカマツ クロマツ
クロマツより柔らかい
葉の樹脂道は皆表皮に接する
葉の樹脂道は皆葉肉内にある
樹皮 赤褐色 灰黒色
生育地 山地の稜線など 海岸の砂浜や岩上など


2003年12月13日 

2003年12月13日 落葉と松ぼっくり





2004年5月5日 もう花粉を出し終わっています。