FAQの目次
1.これから芝生を植えようと思う 2.維持管理のことを知りたい人 3.芝生を年中、緑にしておきたい人
1.これから芝生を植えようと思う人
●はじめに
いろんな種類のシバの中で、どんなシバを貼ればいい?●時期
種から始めるか、切って売ってるものを貼ろうか?
植える時期(季節)はいつ頃?
貼る前の準備作業は?
植え付けるには、どうすればいい?
維持管理には、どんな道具が必要?
暑い時期にシバを植えても良いの?●場所
シバは、秋に植え付けたら良いとも聞きましたが?
店に、シバの在庫がない・・・?
海岸に近い砂地でも植えられる?●その他
マンションのベランダに芝生を敷くことは可能?
シバは、どこで、どうやって購入する?
シバは、赤土でも大丈夫?
土には肥料をどのくらい混ぜる?
青森のような寒いところは、どんな種類が適している?
2.維持管理のことを知りたい人
●改修・補植
シバが枯れたら、植え替える?●トラブルなど
素人でも、張り替えは可能?
犬小屋の前などで剥げてしまった所は植え替える?
部分植え替えの際は、根っこを全部抜く?
ようやく隙間も埋まりつつあるが、生育のよくないところがある?
シバをはがして取っておき、将来、戻せるようにしておきたい?
日が当たらないところでは、春にシバを貼り替えても無駄?
ゴルフ場のフェアウエーのように、凸凹のない平らな状態にしたい?
草地化したシバは復活する?
秋口から、枯れたようになる現象は?●維持管理作業
植えたけれど部分的に剥げてきたところがある?
南側に高い家ができてしまい、その家の陰になった部分が枯れてきた?
ブロック状に植えられた苗と苗の隙間が、へこんでいたり、枯れかけている?
11月に植えたら、7月に枯れた・・・?
葉先が白くなった?
伸びていたシバを刈ったら、茶色になった?
不定型な円形状に茶色くなって、枯れた?
帯のように腐ったような部分がある?
夏になったら、枯れてきた?
春、一斉に青くならずに、斑点で茶色い所が残った?
芝刈りするほどは、伸びてくれない?
アスファルト舗装に進入した?
花壇にシバが入ってきた?
斜面の芝が崩れてきた?
葉が、緑茶のように濃緑色で細く丸まってきた?
薄黄緑色の細い葉っぱになってきた?
シバが薄くなって、地面が見えてきた?
芝生が枯れてきた場合、水やりを続ければ元に戻る?
除草剤で枯れてしまった芝生を蘇らせる方法は?
ムクドリやセキレイがいつもきている?
カラスが、シバをほじくりかえした?
イヌやネコの糞が多い?
年間を通して家庭でもできる芝生の管理方法は?●芝刈り
工事は終った。まず、何からはじめる?
散水の頻度はどれくらい?
貼ったときの隙間(市松模様)はどうなる?
芝生管理の推薦図書は?
冬に向かっての管理作業は?
公園の芝生と家庭の芝生では方法が違う?
芝刈り機は高い?●施肥
どんな芝刈り機を買えばいい?
どのくらいの頻度で芝刈りすればいい?
シーズン中に何回くらい芝刈りをする?
挟みで刈っても良い?
刈り取った後に残る、かりカスは掃除が必要?
刈りカスは肥料になるの?
芝刈り機で刈ったら、刈ったあとのシバが白く変色した?
芝刈り機に付いていた防錆用のスプレーが原因で枯れた?
週一回芝刈りをしていて、芝刈りごとにシバが弱くなる?
サッカー場の縦じまは、どうしてできる?
たくさんまくと害が出る?●目土
いつ肥料をやればいい?
秋口に枯れるのは肥料のせい?
どんな肥料を使えばいい?
月に4回まいた。多すぎる?
庭木の寒肥のように、冬に向けて肥料は必要?
「目土」は、なんと読む?●更新
目土は、毎年やる?
どんな砂をまく?
目土のタイミングは?
目土の量は、どれくらい?
目土はどこで売ってる?
目土は、どうやってまく?
目土で凸凹を改修できる?
貼ったときの隙間が埋まらないけど、目土で直せる?
芝生面が固くなったのは、目土で改善可能?
「更新」って何のこと?●散水
サッチングって何?エアレーションは?
穴あけ作業は家庭でも必要?
市販の踏み込み型の“穴あけ機”は、すぐ詰まる?
散水は重要?●生理
朝、夕方がいいのか、それとも両方?
足で踏んで「ぐちょっ」と音がするくらいでもいい?
芝生への水遣りは週に何回くらいすればいい?
水を遣り過ぎると、根が深く張らない?
水の遣りすぎは害?
シバの根っこは、どのくらい伸びる?●雑草
日陰でも、芝生は育つ?
アカマツの下が枯れた。何が原因?
芝生も麦踏みたいなことする?
雑草対策ってたいへん?●病虫害
クローバーは、どうやって退治する?
横にベタっとしたのは雑草?
白いクツに茶色の粉みたいなものが付く?●薬剤
葉の色が部分的に変わってきた?
ウンカがたくさん飛んでいる?
蟻も芝生を食い荒らす?
こがね虫には、どんな殺虫剤を使う?
アブラムシが付着している?
シバにまく薬剤は、人体に害はない?●除草剤
薬剤はどこで買う?
薬剤を散布したら、どの程度期間を空ければ、芝生に入っても良い?
薬剤をまいた後、子供が芝生に入っていた?
落ちたものを拾って食べても安全?
スミチオン(殺虫剤)を散布したら枯れた。どうして?
殺菌剤は必要?
薬害ってなに?
減農薬や無農薬で管理できる?
ポジティブリスト制って何?
雑草だけ枯らすクスリがある?●その他
土壌処理剤って何?
ラウンドアップで枯れたシバの復旧は見込める?
市販されているシバ用の除草剤は何がある?
土壌処理剤は、人体に対する影響は通常の除草剤と比較してどの程度?
草むしりではダメなの?
草むしりと除草剤散布とどっちがいい?
公園の管理は大変なんでしょう?
穂がでた?
ミミズが出た?
モグラが居るみたい?
キノコやコケ、ワカメまで?
室内でも、シバは育つ?
ロールシバって何?
芝生にベニアを敷いても大丈夫?
岡山の後楽園では、春に芝生を焼いている?
3.芝生を年中、緑にしておきたい人
●冬でも青い芝
ゴルフ場のグリーンは冬でも青い?●方法など
冬も青いシバってどんなもの?
それは、簡単に植えたり管理したりできる?
秋頃に、芝生に種をまけば、冬にもシバを緑にできるらしい?
どうして、“冬でも青い”シバは難しいの?
ゴルフ場やサッカー場では、その寒地型芝草が夏でも青々している?
オーバーシーディングを始めたいが、どうすればいい?●トラブルなど
種をまくのは、いつがいい?
洋シバの種は、どこで売っている?
“ラフブルー”ってどんなシバ?
コウライシバを管理するのと同じ道具で管理できる?
ケンタッキー・ブルーグラスは、2.5センチで刈ってもOK?
オーバーシーディングには、どんな種子が合う?
コウライとベントとでオーバーシーディングは難しい?
オーバーシーディングでは、いつ頃から芝刈りを始める?
ベントなどの洋シバは、こまめに芝刈りをした方がいい?
オーバーシーディングでは、特に何もしなくても春と秋にそれぞれが置き換わる?
コウライシバが薄くなったら、種子をまいて補正できる?
オーバーシーディングに失敗したらどうなるの?
ベントなどの洋シバが、夏場に暑さに負けてしまうのはしょうがない?
洋シバが、5月下旬から突然枯れ始めた?
洋シバに、雑草が多いのはなぜ?
では、洋シバは素人には無理なの?
どうすれば、寒地型芝草を簡単に家庭で育てられる?
やっぱりコウライシバがいい?
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はじめに |
◆いろんな種類のシバの中で、どんなシバを貼ればいい?
コウライシバにしましょう。昔から“公園”に植わっているのは、コウライシバという品種が多いのです。秋から冬にかけては、休眠期といって緑の葉っぱが出なくなります。そう、枯れたみたいに茶色になりますよ。
最近は、“一年中、ずーっと緑の芝生”を望む人が増えてきました。でも、「芝生は初めて」という人には、絶対にこれ(コウライシバ)がお勧めです。理由は、
@シバの中で、手入れが簡単(年中、緑のシバは難しいぞぅ!)
A入手しやすい(たいていの店で売っている)
B夏の暑さにも耐えられる(年中、緑のシバは枯れやすい)
◆種から始めるか、切って売ってるものを貼ろうか?
切って売ってるものを貼るのが、断然、お勧めです。一般的に、日本の暑い夏にも耐えるのは、切って売っているタイプのシバです。最近は、地球温暖化なんでしょうか。日本でも、平気で35度を超えるような日がありますよね。ああいう暑い季節には、種で繁殖させるタイプのシバは、普通の管理ではもう生きてはいけないと言っても過言ではありません。
◆植える時期(季節)はいつ頃?
これは、はっきりしています。春がいいですね。ただし、コウライシバなどの暖地型芝草の場合ですよ。洋シバは、また別の考え方がありますから。夏や秋頃に、「庭を芝生にしたーい!」って思いついても、次の年の春まで待ちましょう。その間に、公園の芝生や他のお宅の庭に植えてある芝生なんかを見比べて、心の準備をしておいてください。
◆貼る前の準備作業は?
一生懸命に耕して、平坦にしましょう。そう、深さ20センチくらいは、掘り起こしましょう。重要なことは、@平坦性、A柔らかい土の二つです。公園の芝生はもちろんですが、家庭の小さな芝生でも、平らなことは基本です。芝生を植えてから、真中に低いところができて水が溜まったりしていると、いやなものですよ。バーベキューパーティも快適ではないですね。
芝生も生きものですから、生育環境が穏やかな方がいいに決まってます。カチコチに踏み締められた土の上に置いただけでは、順調な生育は望めません。
◆植え付けるには、どうすればいい?
簡単に言うと、耕して“ほこほこ”になった土の上に、買ってきた座布団のようなシバの苗を置いて、その上から砂をかけて終わりです。下の土には、“腐葉土”とか“鶏糞”みたいな有機質の材料を混ぜるといいでしょう。粒になった化学肥料は、植える前の土に混ぜ込んでおかなくてもいいですよ。あとで、上からまけますから。その後は、ひたすら散水です。雨の日以外はね・・・。
◆維持管理には、どんな道具が必要?
何らかの形で、芝刈り機は必要でしょうね。何でもあればあったに越したことはないですよね。でもまぁ、これは難しい。あなたの熱意と根気に左右されますから・・・。あと、ホースの先に取りつけるような、簡単なスプリンクラーも必要かなぁ。穴を空ける道具とか、液体の薬剤を散布するための動力噴霧器なんかは、特には必要ないと思いますよ。
時期 |
◆暑い時期にシバを植えても良いの?
まぁ、私に言わせれば、「おやめなさい」ってところでしょうか?
◆シバは、秋に植え付けたら良いとも聞きましたが?
そんなことは、ありません。私は、一番いいのは春だと思っています。秋になったら、翌年の春まで、もうすぐじゃないですか? 待ちましょうね。春を・・・。 ![]()
◆店に、シバの在庫がない・・・?
出ていない、ってことは、植え込みの適期ではないとみるのが妥当でしょうね。シバを植える適期ではないので、需要が少ないからでしょう。野菜の苗でも「今、植えればいいですよ」っていう時に、一番、市場に出回ります。
場所 |
◆海岸に近い砂地でも植えられる?
シバは、軟らかい土が好きみたいですよ。砂地は適していると言われています。だって、日本で野生のシバが自生している区域は、概ね海岸線なんですって。
◆マンションのベランダに芝生を敷くことは可能?
順調な生育は保証の限りではないですよ。可能は可能ですが、どうなんでしょう? いろいろ予期せぬことが起こるとか? まず、日照ね。ベランダの柵(?)って、普通はコンクリート製ではないですか。太陽光を遮りますよね。上の階のベランダがあるので、自然の降雨も期待できない。水道水を使って散水しなければなりません。
その他 |
◆シバは、どこで、どうやって購入する?
できれば、園芸店がいいですね。何を買うにしても、信頼できる店員さんがいるところがいいに決まってます。
◆シバは、赤土でも大丈夫?
まぁ、一概には言えませんね。赤土がイヤだな、って思う理由は、粘土分の多さにあるのではないでしょうか? 土の中に粘土分が多いと、一般的には土が固くなります。固くなると、“水はけが悪くなる”のと“根っこが張りにくくなる”っていう害が生じやすいのです。
◆土には肥料をどのくらい混ぜる?
粒々の化成肥料なんかは、あんまり必要ではありません。むしろ、“腐葉土”や“鶏糞”のような有機質系の材料をたくさん混ぜてやったほうがいいでしょうね。1uに、1袋くらい?(普通は20〜40リットルくらいの袋。まぁ、状況にもよりますが・・・)
◆青森のような寒いところは、どんな種類が適している?
私に言わせれば、やはりコウライシバがベストと言わざるを得ません。中には、「西洋シバもいけるよ」みたいなことをおっしゃる人もいるかもしれません。でも、一般的には、西洋シバはコウライシバなんかに比べて、管理がとても難しいですよ。
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改修・補植 |
◆シバが枯れたら、植え替える?
枯れた原因にもよりますね。本当に枯れて“再起不能”かどうかの判断は、意外に難しいんです。なんらかの一時的な障害が発生して、そのために枯れたことが明らかで、そのシバが復活する見込みがないのが確実なら、初めて植え替えでしょう。
でも、なぜ枯れたかよく分からない場合は、あわてて張替えを考えず、そのシーズンと次のシーズンの様子を見た方がいいでしょうね。
◆素人でも、張り替えは可能?
新規の植え込みと同様で、素人の方でも可能でしょう。でも、残っているシバの除去も含まれるので、新規の植え込みより手間がかかるのは間違いないでしょう。それと、最初の植え込みをご自分で施工された方は、今度の植え替えは造園屋さんにお願いするのもよいのでは? 枯れた原因の話や、その対策なんかも相談にのってもらえるかもしれませんから。
◆犬小屋の前などで剥げてしまった所は植え替える?
また、同じ状況になる可能性が高いですね。継続的な物理的障害によって枯れた部分は、一般的には張替えはあまり意味がありません。植え替えても、しばらくは大事にしてやらないと根付きません。無理じゃないでしょうかね?
◆部分植え替えの際は、根っこを全部抜く?
そうですね。厚みで5センチくらいは、剥ぎ取ったほうがいいような・・・。
◆ようやく隙間も埋まりつつあるが、生育のよくないところがある?
特に不自然な状況とは言い難いでしょうね。商品としてのシバ、つまり座布団大で購入したシバの苗は、その品質にバラツキがあるとみるのが妥当でしょう。なにせ、生きものですからね。植え込み初年度に、発育の不揃いが起こるのは、むしろ自然でしょう。
◆シバをはがして取っておき、将来、戻せるようにしておきたい?
なるべく厚く剥ぎとって、そう、5センチ以上? そうして、植えつけと同じような要領で耕したところへ丁寧に置いて散水をしっかりしましょう。そこで育てていけば、また、剥ぎとって戻すことが可能です。
◆日が当たらないところでは、春にシバを貼り替えても無駄?
張替えは無駄に終るとみるのが妥当でしょう。シバが枯れる原因の中で、日陰などの日照不足は致命的です。
◆ゴルフ場のフェアウエーのように、凸凹のない平らな状態にしたい?
貼った後(植え込みが終了した後)では、なかなか難しい作業になりますね。せめて植えつけ1ヶ月以内くらいなら、置いたシバも簡単にめくれます。下に砂を補充してやることで対応できます。そうでない場合は、まぁ、規模によりますが。目土で改修?
◆草地化したシバは復活する?
問題は、雑草が繁茂している程度の問題ですね。なんとか、雑草の勢いを抑制して、シバだけを復活させることも技術的には可能です。でも、あんまり雑草の密度が高ければ、植え替えが手っ取り早いでしょう。
トラブルなど |
◆秋口から、枯れたようになる現象は?
コウライシバやノシバは、秋口から茶色に変色するのが普通です。病気ではありません。これを、「シバが休眠期に入る」といいます。一種の落葉みたいなものですね。
解説=活性と新陳代謝
◆植えたけれど部分的に剥げてきたところがある?
植え込んだ座布団大の苗の品質のバラツキの問題が大きいかもしれません。そのシーズンに回復することもあるし、回復しないこともあるし・・・。でも、急いで植え替えることは考えなくてもいいでしょうね。来年の春にどの程度復帰してくるかみてから決めましょう。
◆南側に高い家ができてしまい、その家の陰になった部分が枯れてきた?
もし、太陽光が遮られて枯れてしまったのなら、復帰は絶望的でしょう・・・?
でも、ほんとうにそれ(日照不足)だけが原因かどうか・・・?解説=はっきりしない原因
◆ブロック状に植えられた苗と苗の隙間が、へこんでいたり、枯れかけている?
シバは横へ伸びる性質がありますから、順調にいけば、シバの苗を置かなかったところへもシバの芽(正確には匍匐茎)が伸びて行って、全部がシバで埋め尽くされます。そう、1〜2シーズンで・・・。それと、植えた最初の年と、その次の年くらいは、目土は必須ですよ。3年目くらいからは、めったにやらなくてもOKだと思います。
◆11月に植えたら、7月に枯れた・・・?
まぁ、暑さにやられた、っていう線が大きそうですね。植えつけたのは昨シーズンであっても、生きものとしてのシバにとって、本気で活動を始めたのは今年の春になってからです。その最初のシーズンに、あんまり過酷な環境(暑さと水不足?)に置いてやると、やっぱりダウンしてしまいますよ。
◆葉先が白くなった?
いろんな原因が考えられます。・病気?ちょっと、これだけの情報では、なんとも言えませんね。
・害虫?
・芝刈り機の調子が悪い?
◆伸びていたシバを刈ったら、茶色になった?
なんだか、葉っぱが少なくなって、爪楊枝を立てたような状態になった? これは、いわゆる“軸刈り”の線が濃そうですね。今シーズンは、ちょっと、そこは生育が遅いでしょう。でも、大丈夫、芝刈りをあんまり怠らなければ、めったに起こりません。これが理由で、枯れてしまうっていうこともないでしょう。
◆不定型な円形状に茶色くなって、枯れた?
はっきりとは言いかねますが、病害の線もあるでしょうね。公園を管理していて、芝生に発生する病害で多いものに、“ラージパッチ”という病気があります。正確には、別の名前がついていますけどね・・・。直径1mから数mくらいの不定形の環状に、巾数10センチくらいの帯状で茶色に変色して、葉が抜けやすくなってませんか?
◆帯のように腐ったような部分がある?
公園を管理していると、たまに「はて?」と首を傾げてしまう場面に出くわします。「いったいこれは、どんな病気だろう?」
でも、病気じゃなくて、芝刈り機のガソリンを誤ってこぼした跡だったりすることもあるんですよ。
◆夏になったら、枯れてきた?
質問の中でも、最も多かった症状だと思います。そりゃ、誰でも思いますよね。「暑さにやられたんだろう」ってね。でもね、原因が暑さなのかどうか、他にも絡んでくる原因はないのか、それが難しい。また、同じ暑さでも、いろんな暑さがあるので、話は、更に難しくなる・・・。
解説=暑さの種類
◆春、一斉に青くならずに、斑点で茶色い所が残った?
そういう症状を示す有名な病害があるんですが、さぁ、どうでしょう?
なかなか、芝生の病害を言い当てる(これを同定と言います)ことは、難しい。
◆芝刈りするほどは、伸びてくれない?
一般的に一番疑われるのは、肥料不足ではないでしょうか?公園の広場でも、利用者が多く入って、いつも賑わっているような芝生広場のシバは、あまり伸びないことがあります。「 あまり伸びない 」って言うより、伸びても、踏まれて「ヘタる」っていうようなイメージかしら?
◆アスファルト舗装に進入した?
そうです。シバの力はスゴイですよ。横方向へ伸びて行く細い茎が、なんと、あのアスファルト舗装を“破壊”していくのです。しまいには、アスファルトはぼろぼろに崩れて、何年かすると、舗装面が見えないくらい、その上に芝生が伸長してしまいます。
◆花壇にシバが入ってきた?
アスファルトにだって平気で進入できるシバですもの、花壇の中や、垣根の下なんかに入り込むのは朝飯前です。放っておくと、せっかくのパンジーやベコニアが負けてしまいますよ。
◆斜面の芝が崩れてきた?
こまめに砂を補充してやりましょう。そう、少し斜面になったような部分に、シバを貼るのはむずかしいです。“目串”と言って、竹製の割り箸みたいなものを突き刺して、貼ったシバが落ちてこないようにする必要があります。それでも、雨が降ると、シバの下の土が流れ出て、そこが凹んだりします。いったん、シバが根付いてしまうと、今度はシバが“恩返し”をしてくれます。そうです。どんな大雨が降っても、その斜面は崩れてこないのです。
◆葉が、緑茶のように濃緑色で細く丸まってきた?
ひとつの可能性として、“萎凋現象”があります。極端な水不足のときに、生きものとしてのシバがとる特異な行動です? 葉っぱを丸めて、水分の蒸散を防ぐのか、水分がなくなってきたから、「参ったぁ!」って降参しているのか・・・。こんど調べておきます・・・(クスン・・。勉強不足でした)。でも、他の原因も十分に考えられますよ。
◆薄黄緑色の細い葉っぱになってきた?
可能性としては、多肥の害が考えられます。海水浴で、塩水を呑み込んでしまうと「ゲェー」って吐きますよね。植物も同じで、あんまりたくさんの肥料がまかれると、その肥料が土に溶けて、土の濃度が上がって、「オェー」ってなるんです。シバには、人間みたいに、しゃべる“口”がありませんから、「オェー」って言う代わりに、顔色を変えるんですね?(ホンマかいな?)
◆シバが薄くなって、地面が見えてきた?
一番考えられるのは、肥料不足かしら?はたまた、土壌が固すぎたりして、生育不良になっているのかしら? 元気な芝生にするには、肥料をしっかりとやって、キチンと芝刈りをすることが基本です。でも、もっと重要なことは“土”が良い状態になっていることです。
◆芝生が枯れてきた場合、水やりを続ければ元に戻る?
なんとも言えませんね。水不足だけが原因で、シバが完全に枯れきってしまうことは、希でしょうね。
枯れた(弱った?)原因が、水不足なら、水をやれば回復は期待できますが・・?
でも、病害だったらね・・・。水は、枯れる“前”にやりましょうね。
◆除草剤で枯れてしまった芝生を蘇らせる方法は?
除草剤の種類によります。「ネコソギやっつける」とか「2度と生えてこない」「1回の散布で1シーズンOK」みたいな強力な除草剤をかけて枯れたら、ちょっと救済方法はないかも・・・?
◆ムクドリやセキレイがいつもきている?
そこに鳥の餌となる“ムシ”がいると見るのが妥当でしょうね。ムクドリが芝生に下りているのは、わざわざ休憩している訳ではないのです。この場合、ムシは、蛾や甲虫の幼虫の場合が多いでしょう。あるいは、ミミズも居る? 蛾や甲虫(コガネムシなんか)は、あまりシバに害を与えませんが、幼虫が悪いんですよ。根っこを食い荒らすんです。だから、ムクドリは救世主と言いますか、「芝生がムシに食われてるぞぉー」というバロメーターでもあるんです。
◆カラスが、シバをほじくりかえした?
何を食べているんでしょう? こんどカラスに聞いてみます? どなたか、カラスが芝生をひっくり返す理由をご存知ないですか?
◆イヌやネコの糞が多い?
これは、お気のどくですね。自宅の庭に侵入するヨソの家のネコや野良犬を退治する方法は、どうなんでしょう? あるのかしら。どなたかご存知の方は、掲示板に書き込んで教えてください。
公園では、この“イヌやネコの”糞害は、意外に重大(?)です。だって、踏んだら、いやでしょう?
維持管理作業 |
◆年間を通して家庭でもできる芝生の管理方法は?
HPが、2000年の6月に“Yahoo”に登録されてから、この質問が一番多かったです。これは、公園での芝生管理をアレンジしたものです。参考になさってみてください。
◆工事は終った。まず、何からはじめる?
これは、明らかです。散水(水まき)ですね。肥料をやるより先に、まず、散水でしょう。どうも、皆さん、植え付けたらすぐに肥料をやりたくなるらしい。でも、根っこを張らせることが先決です。そのために必要なのは適度の、温度と水分です。
◆散水の頻度はどれくらい?
植え込み直後なら、毎日でも多すぎません。地面に貼った座布団大のシバの苗が干からびないようにする必要があります。ですから、毎日でもいいですよ。真夏のカンカン照りでなければ、一般的に言われる“朝夕”にこだわる必要はないでしょう。乾燥させないようにすることが大切です。
◆貼ったときの隙間(市松模様)はどうなる?
順調にいけば、1〜2シーズンで埋まります。
◆芝生管理の推薦図書は?
このHPで、だいたい分かっていただけるものと思いますよ。
◆冬に向かっての管理作業は?
何もすることはありません。10〜11月に最後の芝刈りを終ったら、もう、その後は、コタツに入って、ミカンでも食べていましょう。庭木の落ち葉が気になったら、そう、掃除をするくらいかしら?
◆公園の芝生と家庭の芝生では方法が違う?
一口で言いますと、スケールメリットが違うでしょうね。家の芝生は1,000uはないでしょう? せいぜい100uくらい? この規模だと、除草は草むしりだけでも対応可能です。でも、1,000uを超えると、そう公園の規模になると、やっぱり除草剤も使わないことにはね。
公園の芝生管理では、機械で施工できるものは極力、機械で施工します。家庭では、お子さんと一緒に、しゃがんで作業をするのも楽しいですよね。
芝刈り |
◆芝刈り機は高い?
概して安い物ではありませんね。手で押すタイプの簡便なものでも、1万円はするでしょう。電気式で数万円、エンジン付きならば、10万円は超えますね。私は、シバを貼って数年は、草刈り機で刈っていました。素人の方でも、少し練習すれば“草刈り機”で芝生を刈ることはできますよ。
◆どんな芝刈り機を買えばいい?
動力で見たら、@人力、A電動、Bエンジン式の3タイプがあります。刃のメカニズムからは、A:ロータリー式、B:リール式の2種類のほか、C:挟み式があります。
価格は、B:リール式が、A:ロータリー式よりは高価です。ホームセンターなどにある一般家庭向けの簡易機械では、C:挟み式をけっこう目にしますね。
どのタイプを購入するかは、どうでしょう。いろんな要素を勘案しなければ・・・。
◆どのくらいの頻度で芝刈りすればいい?
芝刈りは“回数”ではないのです。タイミングなのです。芝刈りに限りません。生きものを相手にする植物維持管理は、すべて“タイミング”が問題なのです。そういう意味では、「伸びたら刈る」というのが基本です。そう、散髪と一緒かしら? 前回に刈ったときより2センチも伸びれば、刈りたくなる、っていうのが自然でしょうね。
◆シーズン中に何回くらい芝刈りをする?
1回や2回では、美しい芝生は到底、望めません。では、標準的には何回かって? そうですね、芝刈り機をお持ちなら、最低限、5回以上。まあ7〜8回やれば近所でも自慢できるかな?
「造園屋さんに、お金を出して頼んでいて、そんな何回もできない」という場合でも、4回は必要ですよ・・・。多すぎる害は全くありません。普通でも20回くらいは刈れますよ。
◆挟みで刈っても良い?
何で刈ってもいいですよ。
ただ、広いところを挟(ハサミ)で刈ると、疲れそうですね?
◆刈り取った後に残る、かりカスは掃除が必要?
そうですね、難しい質問ですね。掃除機をかけてまで処理する必要はないけれど、刈った後には熊手で集めるくらいは必要かしら。芝刈り機によっては、集塵器が付属しているものがあります。刈る作業と同時に、刈りカスを地面に落とさずに、袋に集めてしまうのです。これなら、楽ですね。
◆刈りカスは肥料になるの?
なりますよ。庭にスペースがあれば、ためておきましょう。1回の芝刈りで出た刈りカスを積み終えたら、スコップでうっすら土をかけましょう。作業後に出る枝や葉(これを植物残さと言います)を、肥料に変えるには土壌微生物の働きが必要です。
◆芝刈り機で刈ったら、刈ったあとのシバが白く変色した?
いろんな原因が考えられて、「これだ!」とは断言できません。どの程度、変色したのでしょうか? 真っ白になった? なんとなく白っぽくなった? 芝刈り機の刃が磨耗していて、刃先が丸くなっていると、刈ったあと1〜2日で“なんとなく白っぽく”なることがあります。
◆芝刈り機に付いていた防錆用のスプレーが原因で枯れた?
非常に考えにくいですね。刃に付着した程度の量のスプレーでシバが枯れるなんてことは、まぁ、考えられません。仮に、強力な除草剤が刃に付着していたって、それだけが原因で“枯れる”ような影響はないんじゃないかな? でも、ガソリンをこぼすと、ひどいです・・・。
◆週一回芝刈りをしていて、芝刈りごとにシバが弱くなる?
コウライシバでは、ちょっと考えにくいかな?洋シバを管理していると、真夏の暑い時期にこういうことが起こる可能性は高いです。
◆サッカー場の縦じまは、どうしてできる?
サッカーグランドの上に巾1mくらいの正確な縞は、これは、一般家庭では難しいかもしれません。もっと巾の狭い縞なら、子供用の雪ソリで、行ったり来たりしたら、できるかも? ホームセンターなんかで売っている簡易な芝刈り機では、あの“グランドのような巾の広い縦じま”は出せないでしょう。
* と、以前は、このように書いていました。
しかし、家庭用の芝刈り機でも、
これが可能なもがあるそうなのです。
詳しくは、左のメニューで掲示板から、
平成13年5月8日あたりをご覧ください。
施肥 |
◆たくさんまくと害が出る?
出ます。過ぎたるは、及ばざるが如しです。
◆いつ肥料をやればいい?
年間に2回くらい? 最低でも春に1回!寝るときやお昼ご飯をいただいた直後に、大好きなステーキを出されても嬉しくないでしょう? やっぱり、「欲しいときがおいしいとき」なのは、同じです。シバが肥料を「欲しいとき」は、大雑把に言って2回あります。
@旺盛に成長しているとき
A越冬養分を貯め込もうとするとき、です。
◆秋口に枯れるのは肥料のせい?
肥料とは関係ないような・・・?コウライシバなどの暖地型芝草は、冬は活動しないで、緑色の葉っぱを出しません。だから、だんだん茶色や白色の葉っぱだけになっていくように見えるのです。
◆どんな肥料を使えばいい?
園芸店やホームセンターみたいなところへ行って、“芝生用”とか“シバ専用”と表示されているものがいいでしょう。
解説=肥料の成分と散布量
◆月に4回まいた。多すぎる?
うぅーん。多すぎるなぁ、って思いますね。
◆庭木の寒肥のように、冬に向けて肥料は必要?
やらない方がいいですね。解説=肥料の性質と散布時期の問題=「よくわかる芝生管理」へ飛ぶ
目土 |
◆「目土」は、なんと読む?
「めつち」と読んでいます。
◆目土は、毎年やる?
私も、自宅に芝生を持っています。バーベキューをしたり、子供たちが遊びにきたり・・。でも、ここ数年は、目土をまいてない・・・。
◆どんな砂をまく?
「サラサラした砂・・」いわゆる公共的な事業として公園を管理する場合には、“山砂”と呼ばれるものをまくことがあります。これは、山(の“土取り場”)から、掘ってきたものそのものの場合もあるし、それをいったんフルイにかけたものの場合もあります。
いずれにしても、大敵は“小石”です。石があるとどうなると思いますか? そう、転んだときに怪我をする? そうじゃないんです。その石を芝刈り機の刃が引っ掛けて、刃が磨耗するのがイヤなんです・・・。
◆目土のタイミングは?
そのシーズン最初の芝刈りを終った直後がいいでしょう。私は、そう思います。でも、2度目の芝刈りの後でもいいですよ。“芝刈り後”には、理由があります。シバを刈って、短くしておかないと、目土がキチンと入っていかないのです。シバが伸びていて、芝生がふさふさの状態では、目土作業はうまくいきません。
◆目土の量は、どれくらい?
1回にまく量は、厚さにして5ミリくらいかしら?公園の管理では、4ミリにしています。対象面積が膨大なのと、予算上の制約から・・・。でも、砂が余ったからって、1センチ以上まいてしまうと、それは多いですよ。特に梅雨になったら、厚くまくのは禁物です。
◆目土はどこで売ってる?
さぁ? ホームセンターに売ってますかね?
軽四トラックでもあればね・・・。 袋詰めのものもあるけど、芝生が広いとね・・・。高くつきますよね。
◆目土は、どうやってまく?
私は、スコップでまきました。そのあと、熊手で均した?公園では、“トップドレッサー”っていう機械でまきます。公園の目土散布で最も求められるのは“均一性”ですから・・・。
◆目土で凸凹を改修できる?
何年かかければ、可能です。1年に盛り上げられるのは、せいぜい1.5センチくらい? それも、2〜3回に分けてまきましょう。あまり、たくさんの量を一度にまくと、暑い時期にはムレて、シバが弱りますから・・・。
◆貼ったときの隙間が埋まらないけど、目土で直せる?
そうです。植え込んだあと、1〜2年は、目土はこまめにやりましょう。
目土の効用をご存知ですか? え?ご存知ない!
◆芝生面が固くなったのは、目土で改善可能?
目土でそんなこと、できるかなぁ?
更新 |
◆「更新」って何のこと?
古くなったシバの組織を“更新”して、新しい元気な組織を出させる作業全般を言います。ほんとうは、目土をまくこともその役割にあたります。ここでは、サッチングやエアレーションとしてくくっておきました。べつに、こういう用語を知らなくても、シバの管理は可能ですから、ご安心ください。
◆サッチングって何?エアレーションは?
サッチンングは、サッチを除去することです。サッチって何? サッチは、シバの刈りカスのことです。金属製の大型の熊手で掻き毟り取るのです。エアレーションは、芝生に穴をあけることです。なんで、そんなことをする? 地面の中に空気の流通を良くすることと、根を切って、そこから新しい根っこを出させる効果もあります・・。
◆穴あけ作業は家庭でも必要?
私は、やったことはありません。公園の芝生ではやってますね。それでも毎年やらなくちゃだめか?って言うと、そうでもないですね。人が大勢入る芝生広場で、踏まれて固くなった土ではシバは元気に育っていけません。穴あけ作業には、そういう固くなった土壌を軟らかくする役目があります。
解説=芝生の新陳代謝=「よくわかる芝生管理」へ飛ぶ
◆市販の踏み込み型の“穴あけ機”は、すぐ詰まる?
そう言われましても・・・。バールみたいなものでこじ開けたって、同じじゃないかな?
散水 |
◆散水は重要?
最初に植えた年にこれを怠ると枯れますね。 絶対に根付かないでしょう。だって、最近の日本は暑いですよね。最高気温の35度なんか、私たちが小さなころに経験ありました? 散水は、とっても重要です。
◆朝、夕方がいいのか、それとも両方?
私は、真夏でなければ、どっちでもいいような気がしています。特に、シバを新たに植え込んだ(これは、3〜4月がいいですよ)後、2ヶ月くらいは、けっこう頻繁に散水が必要です。気候が穏やかな季節なら、朝夕にとらわれてしまってタイミングを逸するよりは、昼間であっても散水した方がいいでしょうね。
◆足で踏んで「ぐちょっ」と音がするくらいでもいい?
そんな、それは遣りすぎ・・・?触ってみて、奥の方(茎が地面に接しているあたり)が「湿ってるな」っていう感じでいいんですよ。
◆芝生への水遣りは週に何回くらいすればいい?
これは、回数ではいえませんね。
上の項目を見てください。
◆水を遣り過ぎると、根が深く張らない?
まぁ、そんなことを言う人もいるかもしれませんが、どうなんでしょう? 本当ですか?解説=専門家の言うこと
◆水の遣りすぎは害?
水をまきすぎることの害は、あまり聞いたことがありません。でも、水はけの悪い土壌で、水の“抜け”が思わしくないところでは、たくさんまくと、どうでしょうか? それは、まき過ぎの害ではなく、水はけの悪さが原因で起きる障害の可能性があるでしょうね。
生理 |
◆シバの根っこは、どのくらい伸びる?
条件にもよりますが、20センチくらいは伸びるかな?ゴルフ場のグリーンなどでは、床土に、“土”ではなく“砂”を使っています。砂の方が、根っこはたくさん入っていきますね。でもね、意外なことに、陸上競技場なんかの芝生グランドの土は、そんなには深くないんですよ?
◆日陰でも、芝生は育つ?
あまり、おもしろくありませんね。
やはり、日当たりがよくないとね。解説=日照時間
◆アカマツの下が枯れた。何が原因?
太陽光の照射が阻害されたから?
アカマツが毒素を放出しているから?
なぁーんちゃって。これだけ(の質問内容)では正確なことは分かりません?
◆芝生も麦踏みたいなことする?
寒地型芝草では、そんなことを聞いたことがありますが、暖地型芝草では、私は、聞いたことがありません。
雑草 |
◆雑草対策ってたいへん?
芝生管理の中で、一番たいへんなのが雑草防除です。
他の苦労なんか、草むしりに比べれば屁の河童です。
◆クローバーは、どうやって退治する?
除草剤を使わないなら、手で抜くしかないでしょう。芝生に生える雑草の中で、背が高くなるものは、これは簡単なんです。頻繁にシバを刈っていれば、その内に生きていけなくなって、枯れて死んでしまうから・・・。
でも、クローバーとかチドメグサみたいに、芝生にへばりついて生きていくタイプの雑草は、こうはいきませんね。だって、芝刈り機の刃の高さの下で、悠々と生きていけるんですから。園芸店に行って、「芝生に生えた、クローバーだけを枯らせる薬をください」って言えば、出してくれるかもしれませんよ。
◆横にベタっとしたのは雑草?
これは、分かりません。だって、一口に雑草と言っても、たくさんの種類がありますからね。デジカメで撮って、送ってくれれば、ある程度は分かるかも。でも、病気の写真は止めてね。分からないから・・・。送ってくるのは、雑草だけにしてください!
病虫害 |
◆白いクツに茶色の粉みたいなものが付く?
これは、さび病の可能性が高いですね。そうだとしたら、茶色いものは胞子でしょうね。この、芝生の「さび病」、それだけの理由でシバが枯れて死んでしまうといった極端な事態になることは、少ないんじゃないかな?
◆葉の色が部分的に変わってきた?
こういう表現だとね、ちょと分からないんですよ。とにかく、雑草は写真を見れば、おおよそ見当がつきますが、病害はね・・・。なかなか、分からないんです。
解説=難しい同定
◆ウンカがたくさん飛んでいる?
あまり歓迎できませんが、危機的な状況とは言い難いでしょうね。ウンカはイヤですよね。チクって刺しますよね。でも、血を吸ってるんじゃないんですよ。あなたを葉っぱと間違えて、汁を吸おうとしただけ・・・(ちがう?)。
◆蟻も芝生を食い荒らす?
日本に生息している蟻は、めったなことではシバは食べないでしょう。食べないとは言い切れませんが、甚大な被害を与えるほどの食害は引き起こさない? アリが居てイヤなのは、巣から出した砂が目立つからでしょうね。私は個人的には感じませんが・・・。
解説=各種の虫害
◆こがね虫には、どんな殺虫剤を使う?
飛び交う成虫には、かけません。スプレー式の殺虫剤でも効果があるものがあるかもしれませんね。でも、こういう害虫には、公園では幼虫を叩く方法をとっています。成虫(飛んでいる虫たち)を殺してもね、後から後から羽化して出てくるんですよ。死ぬのは、薬剤をかけた時に、たまたま運悪くそこに居合わせた虫たちだけ・・・。
◆アブラムシが付着している?
本当に、シバにアブラムシが居ました?
あんまり聞いたことがないなぁ・・・。
薬剤 |
◆シバにまく薬剤は、人体に害はない?
使い方を誤ると、害がないとは言えません。
解説=農薬への批判と不安
◆薬剤はどこで買う?
はっきり言いますと、“シバ専用”の薬剤は入手が難しいです。種類が少ないっていうのもあります。やっぱり需要が少ないんだろうなって、私は思っています。全国のゴルフ場や公園の芝生を全部、合わせても、稲作や畑作の規模には到底、及ばないでしょう?
もっと嫌なのは、たとえ手に入っても、1ビンが使い切れないんです。家庭の芝生程度の規模では・・・。
◆薬剤を散布したら、どの程度期間を空ければ、芝生に入っても良い?
雨が降ったらいいの?
葉っぱをなめても平気になるのは、どのくらい経ってから?
ちょっと、難しいですね、この問題は。
◆薬剤をまいた後、子供が芝生に入っていた?
親としては気になりますよね。分かります。でも、その薬が示す基準を守って散布していれば、芝生に足を踏み入れたことで、そのまいたクスリだけが原因で人間の体に変調をきたすようなことは、それは非常に可能性が薄いだろうということが、薬品に添付されて公表されているデータからは読み取れます。
◆落ちたものを拾って食べても安全?
即、死んでしまうような害を与える、とは言い難いような?ガーデンパーティを開くのが分かっていて除草剤をまく人もいないでしょう。で、可能性の話ですが、散布後に例えば芝生に落ちた“おでん”を食べる気にはなりませんよね。当たり前です。なにかイベントのあるのが分かっていれば、肥料であれ何であれ、散布は控えましょう。
◆スミチオン(殺虫剤)を散布したら枯れた。どうして?
そ、そげなことは、考えられません・・・。
何か、別の薬剤と間違えたのでは?
◆殺菌剤は必要?
うぅーん。どうでしょう?
自宅に植えた芝生でしょう? 必要あるかなぁ?
「じゃ、なぜ公園では使っているの!」って?・・・
◆薬害ってなに?
まぁ、その薬剤の本来の効果以外の影響が出ることでしょうか?
◆減農薬や無農薬で管理できる?
できます。
でも、ちょっと難しい・・・。と言うか、今まで各種の薬剤を使いながら、芝生の状態を最高のレベルで保っていた人が、そういう農薬を使わずに、それまでの管理レベルを保つっていうのは、難しいでしょうね。
◆ポジティブリスト制って何?
主に、農作物(トマトや桃、ジャガイモなどさまざまな野菜や穀類)が生産者(農家)から出荷されるときに、その作物の中に残留していてもいい農薬を決めておいて、残留していてもいいとされる農薬以外の農薬が検出されたら、出荷できなくなる制度のことです。
語感からすると、なんだか優しそうなイメージを受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、農家の人にとっては、大問題なのです。気をつけないと、あなたは、農家から訴えられるかもしれないんですよ?
除草剤 |
◆雑草だけ枯らすクスリがある?
あります。私たちは、除草剤を使う場合は、そういう“シバ専用”の薬剤を使っています。不思議なことに雑草だけを枯らせて、シバには影響のないような便利な薬剤っていうものが、世の中にはあるんですよ。
◆土壌処理剤って何?
土にまいて、何らかの作用をなすものを“土壌処理剤”って呼ぶんでしょうね。でも、私たちの世界で“土壌処理剤”って言えば、“茎葉処理剤”に対して使うことが多いです。“土壌処理剤”は“発芽抑制剤”とも言って、予め芝生にまいておいて、飛んできた雑草の種が発芽しないようにする予防的な除草剤のことです。茎葉処理剤は、草本体に直接かけて枯らせる薬剤です。・・・分かりますか?
解説=除草剤の上手な使い方
◆ラウンドアップで枯れたシバの復旧は見込める?
お気の毒・・・。枯れた原因が、本当にラウンドアップなら、ちょっと回復の見込みは少ないでしょうね。
◆市販されているシバ用の除草剤は何がある?
たくさん出まわっているとは言い難いようですね。昨年(2000年)の6月に、このHPが Yahoo に登録されてからいただいたご質問で、一番苦慮したのがこの質問です。ほんと、少ないんです。でも、種類は結構あるんですよ。実際に、私たちのような芝生管理に携わる者たちは使っているのですから。
だけど、一般家庭の小規模な芝生で使えるような“小分け”のパッケージングになってないないんです。商品の対象が、ゴルフ場や公園でしょう? そうするとね、もう、一ビン購入したら、向こう何年も使えてしまうような量が入っているんです。“使用期限”もあるしね、いったん開封すると・・・。
◆土壌処理剤は、通常の除草剤と比較して危ないの?
土壌処理剤だから危険だとか、そうではないタイプの除草剤だから安全か、って、そんなことは言えません。
◆草むしりではダメなの
家庭の芝生ていどの規模なら、私は草むしりが基本だと思っていますよ。でも、仕事が忙しくて、ちょっと目を離した間に、雑草がいっぱい生えてきてたりすると、うんざりしますよね。そういうときは、除草剤ですか?
◆草むしりと除草剤散布とどっちがいい?
今のところ富山の県立都市公園では、作業性と経費を勘案しながら、関係法令で定められた基準の中で、とくに人体や地球環境に配慮して進めています。実際の場面としては、除草剤の散布を即、中止できるとは考えにくいですね。家庭では、草むしりをお勧めしますね。解説=公園管理への住民参加
◆公園の管理は大変なんでしょう?
そうです。予算の管理が一番、苦労するところです。家計が逼迫しているのは家庭も役所も同じです。“やりくり”が大変なのです。
その他 |
◆穂がでた?
そうです、コウライシバやノシバは、4〜5月に穂を出します。
別に気にすることはないと思いますよ。芝刈りして穂を切り取ったら枯れるかって? そんなことは絶対にありません。
◆ミミズが出た?
気持ち悪いですよね。糞は、踏みつけるときたないし・・・。叩く方法はあるみたいですよ。薬剤をまく?
◆モグラが居るみたい?
私はモグラはヤッツケないことにしています。 私は、モグラを見ると(実は本人には面会したことがない・・)、あれを思い出すんですよ。『ピラミッド!』ピラミッドってすごいですよね。レッカーもブルドーザーもない時代に、エジプト人は、あれを人の手だけ(象もいた?)で作ったんですよ。
だから私は、自分の手であれだけの土木工事をやってのけるモグラに敬意を表しています。解説=秘密の退治方法
◆キノコやコケ、ワカメまで?
出るんですよね、キノコやコケが・・。もう、あんまり生えるものだから、いっそ“苔寺”みたいにしようか・・・?
市販の苔専用の薬剤もあるみたいですよ。“コケ殺し”を英語で言ったみたいな・・・?(私は使ったことはありません)え? ワカメみたいなのも出てきた? 海岸でもないのに。キクラゲじゃないですか?
乾燥したときに摘んで帰って、水で戻して料理に使えたらいいのだけれど・・・。
◆室内でも、シバは育つ?
まぁ、育たないことはないけれど・・・。ちゃんと土の上に植えて、適当に水が補給されて、太陽光が十分に当たっていれば・・・。
◆ロールシバって何?
芝生を植えるために、カーペットみたいなロール状になって売っているシバのことでしょう?
実は、使ったことがないので知らないんです。済みません・・・。ネットで検索すると、けっこうヒットしますから、そちらを見てください。
◆芝生にベニアを敷いても大丈夫?
シーズン中は、あまり長い間は敷いておかない方がいいですよ。秋から冬なら1週間くらいなら平気でしょう(いや、保証の限りではないですよ・・)。要はね、植物としてのシバが活発に活動しているときは「塞がない」ほうがいい、ってことかしら?
◆岡山の後楽園では、春に芝生を焼いている?
そういうことを伝統的に行なっているところもありますね。でも、皆さんは自宅でしてはいけません。火事になるから・・・。
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冬でも青い芝 |
◆ゴルフ場のグリーンは冬でも青い?
冬にも、緑色を保持できるシバもあります。冬に開いているゴルフ場へ行くと、コース全体は茶色なのに、グリーンだけが“青々としている”のを見かけますよね。
◆冬も青いシバってどんなもの?
多くは、“西洋シバ”とか“洋シバ”と呼ばれる、外国産のシバですね。
◆それは、簡単に植えたり管理したりできる?
そうですねぇ。決して簡単とは言えませんね。最近のガーデニングブームに乗って、このような“冬でも青い”=“管理が難しい”シバも、けっこう扱われるようになってきました。英国の田舎のお屋敷のような“いかにもガーデニングの教科書”みたいな写真に写っている、ちょっと長めの草丈のシバを期待している人が多いのでしょうね。でも、ここは、日本なのですから、コウライシバのような訳にはいかない、と考えていた方がいいでしょうね。私は、そう考えていますよ。
解説=簡単かどうかの問題
◆秋頃に、芝生に種をまけば、冬にもシバを緑にできるらしい?
そうです。これを“ウインター・オーバー・シーディング”と言いますよ。「冬に(芝生の)上から種をまく」という意味ですね。そのまく種は、冬でも緑色をしている寒地型芝草の種なんです。
解説=2種類の方法
◆どうして、“冬でも青い”シバは難しいの?
暑さに弱いので、夏越しに非常な困難を伴うのです。もともと、ヨーロッパや北米の冷涼な地域のものなんです。最近の日本では、真夏に何回か35度を超えるよな猛暑になりますよね。寒地型芝草の適正な生育気温は20〜25度で、30度を超えると衰退する、と教科書的には言われています。
“冬に青く”ても“夏に茶色”では、しゃれにならないと思いませんか?
◆ゴルフ場やサッカー場では、その寒地型芝草が夏でも青々している?
そりゃ、あなた、経費の掛け方が違いますって! ハードもソフトもね。元気なシバを育てるために、庭の土を30センチも砂に入れ替えられますかぁ?
真夏に散水するために、スプリンクラーが全面をカバーするようになんてできます? 病気になったときの対応方法なんかを知ってます? ほぅらね、普通の人には無理っぽいでしょう? (でも、やってる人がけっこういらっしゃる・・・?)
◆
方法など |
◆オーバーシーディングを始めたいが、どうすればいい?
オーバーシーディングでは、ベースとなっている暖地型芝草が、後で上からまかれた寒地型芝草との競合に負けて、次第に衰退していくということが、一般的に言われています。
これを、少しでも回避するためには、理屈としては、@ベースを寒地型との競合に強い暖地型にしてしまうなどがあります。
A暖地型と競合しにくい、比較的“弱い”寒地型を導入する私の経験では、一般の方がご自宅でトライするには、結構なリスクを伴うと思いますね。
◆種をまくのは、いつがいい?
一般的には、暖地型芝草が休眠期に入ろうとする秋口ですね。
◆洋シバの種は、どこで売っている?
なかなかね?
でも、そこそこの園芸店で聞いてみられれば、どうでしょうか?
◆“ラフブルー”ってどんなシバ?
夏場の暑さに滅法弱い(=オーバーシーディングに適した)寒地型芝草の品種です。正式には、“ラフブルー・グラス”と言います。このHPの“レポート”にも記述がありますよ。
◆コウライシバを管理するのと同じ道具で管理できる?
できると言えばできるし、ちょっと難しいとも言えるし・・・。そもそも、オーバーシーディングが難しいんですよ!
◆ケンタッキー・ブルーグラスは、2.5 センチで刈ってもOK?
日本の暑い夏場を乗り切るには、長めにしておかないと無理でしょうね。短く刈るということは、オーバーシーディングの場合に、夏に向けてケンタッキー・ブルーグラスなどの寒地型芝草を自然な形で衰退に導く手段なんです。つまり、短くすると、寒地型芝草の命を縮める・・・・。
◆オーバーシーディングには、どんな種子が合う?
暖地型との競合を、極力、避けることが要件でしょう。
つまり、夏に暑くなってきたら、簡単に枯れていってくれるタイプ?
◆コウライとベントとでオーバーシーディングは難しい?
もう、私には無理です。・・・。他の人に聞いてください! すみません。もし、「なんや、情けないやっちゃな。我が家では寒地型芝草を真夏でもちゃーんと緑いろにして、ふっかふかだぞ。」って方がいらしたら、左メニューの掲示板に、ぜひ書き込みお願いします。ちょっと出張して見学させほしいなぁ・・・。
◆オーバーシーディングでは、いつ頃から芝刈りを始める?
もう、メチャクチャ増えますよ、芝刈りは。普通は、冬はコタツで寝てれば良いんですよね。コウライシバは休眠期で、施肥も芝刈りも必要ない。でも、そんな冬場にも青々としたシバがあったら芝刈りだってしなくちゃいけない・・・。ちょと、やっぱり大変そうではないですかぁ?
◆ベントなどの洋シバは、こまめに芝刈りをした方がいい?
こういうことを聞いてくるような人には、寒地型芝草をちゃんと管理するなんてことは難しいぞぉ!って、ほんと。なんでも“こまめ”が肝心ですよ。私が思うには、「コウライシバなんかじゃ、カッタルクテ」っていうような元気のある人なら大丈夫かも・・・。
◆オーバーシーディングでは、特に何もしなくても春と秋にそれぞれが置き換わって育ってくる?
そげな簡単な問題なら、なにも、こんなたくさんのページを割いてFAQなんて作りませんってぇ?
◆コウライシバが薄くなったら、種子をまいて補正できる?
できません! 残念でしたぁ。コウライシバやノシバは、栄養繁殖と言って、切り取ったソッド(地表のシバ組織)を植えつける方法をとります。残念ながら、種をまいても、うまくはいかないんです。不思議ですね。
◆オーバーシーディングに失敗したらどうなるの?
前々からあった、コウライシバは衰退して消失。残った寒地型も暑い夏に絶えられず、醜い姿を晒す。解説=オーバーシーディングの不思議
トラブルなど |
◆ベントなどの洋シバが、夏場に暑さに負けてしまうのはしょうがない?
って言いますか、そもそも暑さには滅法弱いタイプだという理解が必要ですよね。まぁ、散水でもしてみますか?(いや、そういう問題ではないんですが・・・)
◆洋シバが、5月下旬から突然枯れ始めた?
もともと、そういう性質なんですよ。いや、違った。ごめんなさい。「もともとそういう性質」なんじゃなくて、日本に連れてこられると、そうなってしまうんです。だから、この性質を期待して、オーバーシーディングが成り立つんですよ?
◆洋シバに、雑草が多いのはなぜ?
洋シバだからって、余計に雑草が生えてくるなんてことはありません。ただ、一般的に言って、寒地型芝草に安全で、雑草だけに効くような除草剤は、種類が少ないんです。暖地型芝草に安全で、雑草だけに作用する除草剤のほうが、比較としては種類が多いのです。
◆では、洋シバは素人には無理なの?
どうでしょうね、「難しいですよ」とは言っておきましょうか?でも、やってる人も大勢いらっしゃるし、「簡単ですよ」って書いてある書籍も多いのは事実です。こういうことでいかがでしょうか?
単に、「庭を土にしておいて、雑草ぼうぼうにしておくくらいなら、シバでも貼るか?」っていうような方には、洋シバはお勧めではありません。でも、園芸がお好きで、植物のことを比較的、分かっておられる方には、成功したときの達成感もまたひとしおかしら。 こんなところでいかがでしょうか?
◆どうすれば、寒地型芝草を簡単に家庭で育てられる?
公園にある芝生のように、いつも短く(3センチくらいに)刈り込んでおく状態では、これは難しいとしか言いようがないですね。庭先の木陰とか、プランターボックスに見え隠れするようなところで、あまり刈り込みを気にせず、多少、長めの状態で育てていくのなら、上手な人なら可能でしょうね。品種も、園芸点に聞いてみられれば、耐陰性や耐暑性のある品種を教えてくれると思います。
◆やっぱりコウライシバがいい?
そうですよ。分かっていただけました?
あなたも、コウライシバでいきましょうね!
長々とお付き合い、ご苦労様でした。