ミゾソバ(タデ科 タデ属)(別名:ウシノヒタイ)
溝蕎麦 Persicaria thunbergii

水生庭園の周り、展示館へ至る道左右、展示館周辺などで見られる、高さ0.3〜1mの1年草です。葉は互生します。
北海道、本州、四国、九州の田のあぜや湿った場所に分布します。

花は7月〜10月。
この花は、10から数個集まって付きますが、一度には咲きません。1度に咲かず順々に咲いて、子孫を残すための工夫としているのです。
そして、蕾や咲き終わった花もピンク色をして、昆虫を呼ぶ工夫としているのです。
なお、花被片は1種のみですので、花弁は無いことになります。

ミゾソバなんて、ちょっとかわいそうな名前ですが、役に立たない場合は普通「イヌ・・・」になるのに、これは「イヌソバ」ではなく、「ミゾソバ」ですね。
実は、ミゾソバは決して役に立たないわけではなく、飢饉のときの救荒植物だったのです。ソバの実とおなじようにソバガキにして食べた大事な植物だったんですね。そこで、畑地にさくソバに対して、田んぼや溝などの湿ったところ咲くので「ミゾソバ」になったのです。

また、この植物は、地表面ぎりぎりの匍匐枝の横のほかに、地中にも閉鎖花をつける変わり者でもあります。
地下茎に閉鎖花が付き、果も地中に付くのです。こういう地中に果ができるものは種子散布ができませんから、基本的に一年草です。


2004年11月14日 まだ花が残っていました。(展示館横)




2003年11月15日 葉の様子。




2004年11月20日   匍匐枝の様子





2004年11月20日 地中の閉鎖花の様子。これは完全に地中に埋まっていたものです。





2004年11月20日 匍匐枝の節からでていた閉鎖花です。地表面ぎりぎりのところについています。