緑のリサイクルについて
平成12年8月


 最近、話題になっている「植物残さの処理」についてレポートしてみました。




●緑のリサイクルについて
 除草や樹木の剪定等で発生する植物残さは、適正に処理しなければならなくなってきました。今後、これは公園や緑地管理の必須条件になると考えられています。植物残さは、単純に堆積させただけでは、通常は、チッ素飢餓作用等により期待どおりの肥料効果が得られないこともあります。ですから、チップ化をベースに、次のような緑のリサイクルシステムが重要となっているのです。
・持込む物:剪定枝、枯損木、間伐木、落葉、除草残さ
・行う作業 :集積、粉砕、培養・発酵、袋詰
・生産する物:チップ、腐葉土、堆肥
・利用形態 :土壌改良、施肥、マルチング、一般配布

●堆肥化の課題
 残さを堆肥として完熟させるには、“粉砕”と“発酵”の両施設が必要なのです。しかし、粉砕作業における騒音、発酵過程での悪臭の発生などは、公園の中で、これらを処理しようとすると、園内施設としての課題が大きいでしょう。また、除草残さは、土つきが多く、粉砕機械の損耗が激しいのです。発酵促進剤の選定や投入量など、技術が未成熟のものも多いと言わざるをえません。JA京都北コンポステーション等では、近隣他業種からの発生材を取り込み成功しているそうです。自治体毎や、複数の自治体が協力して、地域内での集約的・効率的な処理施設の建設・運営が必要なのです。

●事業の採算性と緑化推進
 ここのところ、慢性的な景気低迷により公園管理予算の増大は見込めないでいます。植物残さのリサイクルでは、経費面での課題が一番大きいと私は考えています。焼却などの有償ゴミ処分に比較して安価でリサイクルが可能とするまでにする必要もあります。設備投資に見合う安定した収入の確保がネックになりますね。一方、市民には堆肥の使い方教室やリサイクル堆肥の無料配布も必要となってくるでしょう。

●リサイクル堆肥の受け入れ
 私は、管理を通して緑化工事を見ていて、一部、植栽基盤への配慮が不足している実態をとても懸念しています。これからの公園の管理は、植栽基盤の整備を念頭に、リサイクル資材を積極的に使用すべきであると強く感じています。整備工事で発生する表土の再利用と併せて、これらを支援する、制度的・財政的対応も不可欠と考えます。各自治体では、公共公益施設から発生する植物残さの総量を調査しなければなりません。その上で、堆肥化の処理能力、公園整備事業や維持管理に必要とされる施肥量等を体系的にコントロールして、活用していく体制づくりが必要となるのです。

●最終的な有効利用と市民意識の問題
 家庭ゴミのコンポストを使った緑化活動や、公園管理の発生材による緑のリサイクル資材を市民に配布すること等が必要でしょう。そういう意味では、今後は官民のリサイクルの協調が必要だと私は思っています。
 地球環境を考える場合、各種の環境負荷の増大は、都市において快適な生活を継続する我々自身が最大の原因者であるという認識が必要なのです。「地球規模で考え、地域から行動する」のスタンスにより、「できるところから」の身近な緑化活動、公園などの自主管理を進めていく取り組みが、今、最も重要となってきてるのでしょう。私はそう思います。