土壌の濃度について


平成11年2月、NHKスペシャルでは、ショッキングな映像が放映されました。
アメリカ中央部の穀倉地帯で土壌がボロボロになり作物が育たなくなっていったのです。
世界各地で同じようなことが・・・。

土壌がボロボロになってしまうのは、どうしてでしょうか?土壌の濃度について、詳しくみてみましょう。
 



Q:化学肥料のせいではないかと言われますが、本当ですか?
A:関係あると思います。


Q:なにが、良くないのですか?
A:肥料が解けるスピードより、解けたものが植物に吸収されるスピードが遅いのです。


Q:解けるスピードが速いと、なぜ良くないのですか?
A:吸収されずに残った物質が、「悪さ」をするからです。


Q:どんな「悪さ」ですか?
A:土壌中の濃度を押し上げて、根が水分を吸収できなくしてしまう害です。*


Q:土壌の濃度って何ですか?
A:土壌中には水分が含まれています。
  その水分に解けている形で、肥料分やその他の物質が存在します。
  土壌の濃度とは、土壌水分の中でのそれらの物質の「濃さ」だと思ってください。


Q:残った何が、濃度を押し上げるのですか?
A:硝酸です。


Q:肥料には、硝酸が含まれていたんですか?
A:いえ、元々は含まれていませんが、解けた物質が化学変化していくのです。


Q:どんな変化ですか?
A:植物がチッ素を吸収するためには、チッ素は一度アンモニアに形を変えます。
  全部が植物に吸収されれば問題はないのですが、残ったアンモニアは、
  土壌中の微生物「硝酸化生菌」により、亜硝酸を経て硝酸になってしまうのです。


Q:硝酸があると、どうして濃度があがるのですか
A:硝酸は、土壌水分中では、硝酸態チッ素(NO3-)というマイナスイオンの形で遊離しています。
  このマイナスイオンが、濃度(この場合は、電気伝導度(EC)を言います)を押し上げます。


Q:どうして、NHKスペシャルで放映されたような、荒れた畑になってしまうのですか?
A:作物の収量を上げるために、あまりに多量の施肥を続けると、
  吸収されずに残る物質がどんどん蓄積されて、症状が重くなるのだと思ってください。


Q:やっぱり化成肥料は良くないですね。公園は大丈夫ですか?
A:公園の管理では、まず、
  @ 植物の吸収スピードになるべく近づけるため、ゆっくり解けるタイプの肥料を選んでいます
  A 植物に吸収される物質に変化しやすいタイプの肥料を選んでいます、
  ので、ああいった極端なことにはなり難いです。
芝生に牛糞をまくことができないのと同時に、経費的にも化成肥料を全く使わずにやっていくことは到底できません。ですから、
福祉公園では、地球環境に優しい資材を選んでいくように心がけています。
 
*「土壌中の濃度を押し上げて、根が水分を吸収できなくしてしまう害」
 ここは、土壌の濃度についての説明ですから、こういう表現をしましたが、化学肥料の害の類は、これだけではありません。