規定の散布量


平成5年春、富山県常願寺川公園での芝生管理業務について、新聞で投書を受けました。
「自然のままにしておけばいいのに、なぜ、わざわざ色を付けてまで、青くしなければならないのでしょうか?」というものでした。
 
福祉公園が行う芝生管理では、除草剤などの薬剤を散布する際には、青い色素を混ぜているところがあります。
これは、芝生を「青く」見せるためではないのです。
散布作業で二重散布を防ぐのが目的です。
その意味では、青でも白でも赤でもいいのですが、やはり「青」が適当でしょう。
 
単に色素だけの資材もありますし、葉面散布を目的とした成長補助剤的な効果を持つものもあります。もちろん無害のものです。


窪地になっている下の区域には色素を混入した薬剤を散布してある。
手前の部分は、これから散布する区域



 たとえばカゼ薬ですが、効能書には、
「小人1回1錠、大人1回2錠」等の表記がありますよね。
カゼ薬といえど、規定量を超えて服用すると、害になります。何でも薬には「副作用のない薬はない」と言われ、だからと言って、「そのカゼ薬は安全ではない。危険な薬だ」とは言いません。

除草剤も、「安全」とされるには、所定の量を守って施工することが条件です。
ディクトランという土壌処理剤は、非常に優れた効果を持つ薬です。
この、秋季に散布する土壌処理剤(秋冬期に発芽する雑草を抑える目的)は、長く効果が持続することが必要ですが、長すぎて春の萌芽期に芝生に影響があってはなりません。製薬会社も、研究をしていて、0.2g/uが適当なのか0.22g/uが適当なのか、といった微妙な線で開発しています。
 
それなのに、誤って、倍の量をまいてしまうようなことでは、元も子もありません。
もちろん、誤って散布されなかった部分には、薬の効果は期待できません。



ただ、上記のような一般利用者の疑問には、うまく説明する必要があると思います。

環境負荷に対する配慮が求めらていて、昔のように、単に「安全ですから」だけでは、済まされなくなってきています。
公立の公園を、限られた予算で適正に管理するために、必要最低限の安全な薬剤を、無駄なく散布するためだ、ということを言わねば、説明にならないでしょう。