化学肥料の問題

植物は空気中からと土壌中から養分を吸収していると言えます。
空気中からは、光合成を行う際に二酸化炭素を取り入れますし、土壌からは水分とチッ素等の養分を取り入れています。
化学肥料の害は、植物が土壌中の水分や養分を吸収できなくなる、というような状況になることで現れてきます。


植物が土壌中の水分を吸い上げるのは、根っこ「くち」があって、力いっぱい吸い込んでいるのではありません。
昔、理科の時間に教わった「半透膜や浸透圧」のような作用が働いているのです。
思い出してください。半透膜を挟んで、片方には塩水を、片方には真水を入れておくと、濃度が薄い方(真水)から濃度が濃い方(塩水)へ水分が移っていき、やがては同じ濃度の塩水になりましたよね。

土壌中には水分や塩分(各種の塩基)が含まれていて、その土に固有の「濃度」を持っています。

植物は呼吸によって、気孔(葉の表面に開いている小さな穴)から絶えず水分を放出しています。
こうなると植物の体は、当然「水不足」になります。この水不足を補うため、下の方(根)から水分を引き上げようとします。
すると、根の部分では上の方に水を提供した分だけ水分が減って、濃度が濃くなります。
 


この場合、「半透膜」が「根の表皮細胞」で、「濃度の薄い方」が「土壌」、「濃度の濃い方」が根の内部だと思ってください。
通常は、根の外(土壌)の方が根の中(植物体内)より濃度が低いので、自然な形で植物は水分を吸い上げることができます。
 
 

土壌の濃度について

 「植物が育たなくなる」ような状況は、土壌の濃度の方が、植物体の濃度より濃くなってしまって、根の内部に水が入っていかなくなることで起こるのです。