放っておいたら伸びすぎるからです。
いきなり、何か当たり前の話でしたね。
公園に一般的に植えられている芝生で多いのは、コウライシバやノシバといった日本芝(専門書では「ゾイジア」と書かれています)です。いつもは、芝刈りで奇麗に切り揃えられていて分かりませんが、これらの種類の芝生は、放っておくと20センチくらいの草丈になります。


これは、5〜6月に約1ヶ月間、放置したときのコウライシバです


これは、同じくノシバの状態です

草丈が20センチにもなると、「カーペットのような美しい緑」は満たされても、「寝っ転がったり、座ったりしても肌に気持ちいいのいい質感」は到底無理でしょう。

伸びる芝生

やはり、高くても地面から5センチぐらいで止めておかないと、ズックが隠れてしまうようなフカフカしすぎる芝生は考え物です。(福祉公園では芝刈り時点で約2.5センチを基本としています)
ですから、当たり前のことですが、芝生が上(空のほう)に伸びていかないように、年に何回か芝刈りをしているのです。





 
どんどん横方向に広げさせるためです。
ちょっと専門的になりますが、公園の芝生は上(空のほう)へ伸びる以外に、横へも伸びる性質を持っています。
横に伸びていく種類の芝草には、匍匐(ほふく)茎という器官があって、一粒の種から発芽した芝が、地を這うように水平に伸びる茎をたくさん出して横へ横へと広がって行くのです。

私たちは、芝生のこの性質に期待しています。芝草は、芝刈りによって上(空のほう)へ伸びることを妨げられると、いきおい横へ伸びる方向にエネルギーを傾けます。そして、どんどん広がっていきます。
どんどん芝刈りをすればするほど、たくさんの芽がみな一斉に横へ伸びていこうとして、その分、芝生の密度が高くなるのです。

芝生の管理では、芝の密度を高めることが大切なのです。
後で解説しますが、密度が高いと、それだけで雑草が生えにくいのです。
もちろん、ちょっとした利用ではヘタらない頑丈な芝生にも、密度がとても重要です。

値段の高い分厚いカーペットと、価格の安い薄いカーペットを思い浮かべてみてください。
だいたい、似たようなイメージたと思って間違いないでしょう。

匍匐茎について




 

 
光合成に必要なのと、雑草防止です??
たまに、公園の芝生で芝刈りがされずに放ったらかしになっているところを見たことはありませんか ?
(福祉公園が管理している公園には、ないと思いますが・・・)

20センチくらいのフカフカの状態のところを手で押さえてみると、芝草の根もとの方まで見ることができます。そこを良く見ると、スーパーで売っている白ネギのように、地上近くは茶色もしくは白っぽい色をしていて緑の葉は見当たりません。茎ばかりなのです。


これは、ポットで育成したノシバの様子です。芝刈りはされていません。
公園の芝生では、頻繁に芝刈りされますので、直立茎がもっと短く、
全体的に、もっと背が低く、直立茎と葉の高さがせいぜい3センチぐらいのものです

芝刈りを怠ると、葉も伸びますが茎(この場合は「直立茎」を言います)も伸びます。
つまり 葉 と 茎 が異様に長い芝草になります。
芝生を年に一度も刈り込まないということはありません。
きっとこの芝生にもいつか芝刈りの手が入るでしょう。そうなると、どうでしょう。

芝刈りをした後に残るのは、白っぽい茎ばかりで、上の方に付いていた緑の葉はほとんどなくなってしまいます。
「カーペットのような美しい緑」も台無しです。これを「軸刈り(じくがり)」と呼んでいます。
葉がないことには、光合成ができませんし、植物は、光合成をせずには生きていけません。

また、軸刈りになって芝密度が低下すると、なぜか雑草も生えやすくなるのです。

軸刈りの弊害と光合成



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